自己破産に必要な費用一覧と払えない時の対処法まとめ | 自己破産のメリット・デメリット

自己破産に必要な費用一覧と払えない時の対処法まとめ

PR

自分で手続きを行う場合

法的整理とは

クレジットカードの支払い・住宅ローンなどの支払いが出来なくなった場合、債務整理、つまり、債権者と交渉を行うことになります。

この時、裁判所を通さない手続きを「任意整理」、裁判所から債務額の減額あるいは免除(免責)の宣言を受けることを「法的整理」と呼びます。

法的整理には2種類あります。

  • 個人再生…債務額を1/3まで引き下げる手続き(下限100万円)
  • 自己破産…債務の全額免除を宣言してもらう手続き(免責)

ここで知っておきたいのは、任意和解・個人再生・自己破産のいずれの方法も、基本的には債務者本人が一人で手続きを進められる…ということです。

任意整理については、債務者との二者間で交渉するための「和解マニュアル」を作っているローン会社が急増しています。
また、任意整理の和解交渉においては、道義上手数料をとってはならないというルールがあります。

つまり、債務者と債権者の話し合いだけで済ませるのであれば、費用はかかりません。
しかし、法的整理と呼ばれる手続きについては、配布されているそれぞれの案内パンフレットにしたがって、所定の最低費用を裁判所に納める必要があります。

自己破産を自分で行う際の「無料」の手続き

自己破産では、申立までに膨大な量の資料を取り寄せたり、作成したりといった作業が必要となります。
そのうち、無料でできることを説明していきましょう。

債権調査

裁判所に債務の申告をする際、返済に苦しんでいる借金だけでは足りません。

所有しているすべてのクレジットカード・ETCカード・携帯電話本体代金の割賦残高にいたるまで、存在する「自分の債務」をそれぞれ正確に報告する必要があります。

具体的には、「2年前からの取引履歴~自己破産を決めた段階で残っている返済額(支払額)」をカード会社・ローン会社に依頼して回答を得なければいけません。
万が一漏れがあった場合、意図的に債権者の申告を除外したものとして、申立自体を退けられる可能性があります。
しかし、これらの調査には費用がかからないので、経済的な心配は無用です。

家計収支表の準備

申立までの2か月間、家計収支表を作成して裁判所に提出しなければいけません。

裁判所に所定の用紙があるので、これに手書きで記入してもいいですし、自宅のオフィスソフトで作成しても構いません。
こちらもお金はかかりません。

自己破産を自分で行う場合の「有料」の手続き

申立までに必要な資料のうち、取り寄せにお金がかかるものもあります。

また、申立の際も所定の費用を納めなければなりません。
最低限、下記の書類と費用が必要になりますが、弁護士・司法書士に依頼する場合は、これに別途依頼料がかかります。

所得証明書/戸籍謄本

所得証明書は過去2年間、戸籍謄本は破産申立時点のものが必要です。
所得証明書は1年分でおおよそ300円分(自治体による)、戸籍謄本は450円~500円です。これで計1,000円前後になると考えていいでしょう。

銀行の入出金取引明細

所有している口座すべての、過去2年分の取引明細が必要となります。

記帳している場合は通帳のコピー・インターネットバンキングの場合は取引明細のプリントで構いませんが、都市/地方銀行の無通帳型口座の場合、窓口で入出金明細の取り寄せが必要になります。

銀行によって異なりますが、期間を問わず1通450円~500円が一般的です。

医師の診断書

借金の返済が出来なくなった理由として「障害や病気が原因で働けなくなった」と申告する場合、申立時に診断書提出が必須となります。

1通あたり3,000円~8,000円と、医院・担当医によって大幅に値段が変わります。
申立準備において、手痛い費用のひとつとなりますが、重要なポイントは、「破産手続きのため、就労不能の事実を証明したい」と医師に伝えることです。

裁判所に納める費用

いよいよ申立となった場合、手数料・(債権者に破産の通知をするための)郵券・官報広告費を納めなければいけません。

手数料は全国一律で1,500円と定められています。
郵券については、債権者の数にもよりますが3,000~5,000円が一般的です。
予納金は債務額によって上下し、地方裁判所ごとに異なりますが10,000~16,000円となっています。

また、申立後の流れによっては、破産管財人への予納金も必要となります。
これが最も大きい費用となるのですが、詳しくは後述します。

弁護士または司法書士に依頼する場合

依頼費用と専門家の腕は比例しない

自己破産申立までに必要な資料・行程を述べてきましたが、これらの手続きの代行や援助・適切なアドバイスをしてくれるのが、弁護士・司法書士の強いところです。

しかし、債務整理を強みとする法律事務所が急増している反面、依頼先の選択基準の不明瞭さに悩まされることになるでしょう。
近年では業務停止命令を受ける事務所もあり、不安も感じられます。

ここで述べておきたいのは、「依頼費用が高い=優秀な法律家とは限らない」ことです。
債務整理におけるそれぞれの専門家の費用や手法は、所属している団体の方針・個人の性格に委ねられるところが非常に大きいのです。

法律家には平等に仕事の機会が与えられるべきという国家の配慮もあり、事務所ごとの中立な立場での口コミ・レビューサイトも存在しません。

つまり、「実際に相談してみるまでは法律家の腕は分からない」というのが、債務整理をする人にとっての試練となります。

優秀で費用の安い法律家の選び方

自己破産の場合、費用は総額で12万円~25万円と大きく振れ幅があります。
弁護士か司法書士かといった違いはありません。
大手の事務所ほど高額になり、地域密着型の小規模な事務所ほど少額になる傾向にあります。

ほとんどの事務所では「初回30分相談無料」といったキャンペーンをしているので、これを利用しない手はないでしょう。

とはいえ30分で話せる内容は限られており、法律家の能力を見極める時間を考慮しても、事前に相談内容のメモを緻密にとっておく必要があります。

法律家を選ぶポイントとしては、以下の通りです。

  • 地域密着型の事務所所属であること(地方裁判所に詳しく、費用も安い)
  • 依頼者の状況を鑑みて、自己破産以外の債務整理の方法も提示してもらえること
  • 費用と手続き完結までの期間を、明瞭に説明してもらえること
  • 高圧的ではなく、相談者の譲れない条件などをしっかり聴取して対応する姿勢があること

単純にいえば、「地元の人で小回りが利き、親身で話していて相性がいいと感じる」法律家を選ぶのが、最良の方法です。

法テラス利用について

法律家依頼料と申立費用が共に支払えない場合は、「法テラス」を利用しましょう。
主な特徴を挙げてみます。

  • 同一相談内容について、3回まで費用立て替えをしてくれる(返済不要)
  • 自己破産費用の立て替え/5,000~10,000円の範囲で分割返済に応じてもらえる
  • 生活保護世帯に対しては、返済猶予/返済そのものの免除制度も存在する

特に中段に挙げたのは非常にメリットがあり、後述する「管財事件となった場合の破産管財人への予納金」も立て替えてくれるのが、うれしいポイントです。
しかし、法テラスを利用できる条件・対応する法律事務所は限られています。

法テラス利用条件については、前年度の収入から見て経済的困窮が認められること・勝訴の見込みがあることの2点となります。

ギャンブルやその他の遊興費が破産の直接的な原因でない場合は、確実に条件を満たせます。

法テラス対応事務所ですが、地域ごとの法テラス相談センターから案内される事務所よりも、近隣の事務所の中から地道に「法テラス対応可否」を探すことをおすすめします。

管財事件となった場合の費用はどうすればいいか

自己破産には、次の2つの道が用意されています。

  • 債権者に分配すべき財産がないと判断された場合の「同時廃止」
  • 財産があり、売却することで債務の一部を履行できると判断された場合の「管財事件」

後者の場合、申立の際に依頼した法律家とは違う弁護士が「破産管財人」となって、申立人の財産状況を詳しく調査します。

この破産管財人への予納金ですが、国や裁判所負担ではなく、申立人負担となります。これだけでも20~25万円ほどとなります。

万が一管財事件となったとしても、前述の通り法テラスで立て替えてくれるので、申立時に利用した人は安心してください。

自身で申立や法律家依頼料を支払っている方にも、管財人予納金の積み立て猶予期間が6か月あります。

タイトルとURLをコピーしました