自己破産がもたらす連帯保証人への影響と家族への影響
借金をする場合に必ず必要となるのが、連帯保証人です。
「保証人には簡単にならないこと!」とよくいわれていますが、自己破産をした場合の保証人の義務にはいったいどのようなものがあるのでしょうか。
また自己破産者の子供への影響はないのでしょうか。
連帯保証人への影響
保証人には、債務者が借金を返済出来なくなった場合に、代わりに返済する義務があります。
この義務は自己破産ではない場合でも発生する義務となっています。
すなわち、自己破産をした場合は、借金がすべて保証人にのしかかってくるということです。
債務者は借金がゼロとなりますが、保証人は多額の借金を背負うこととなります。
しかも原則一括返済です。
もし保証人も返済出来ない場合は、保証人も債務整理をすることになってしまいます。
家族への影響
家族が連帯保証人になってない限りは、家族が所有している不動産や自動車、預貯金には影響はありません。
クレジットカードを作ったり、ローンを利用することも可能です。
中には、家族の中に自己破産者がいる場合は融資を実行しない金融機関もあるようですが、基本的には問題なく過ごせるかと思います。
もちろん債務者の所有している財産はすべて手放す必要がありますので、家の名義や車の所有が債務者であった場合は没収されます。
そのため、引っ越しなどの必要性は出てくるかもしれません。
子供の学費への影響は
まだ子供が成人していない家庭に自己破産者がでた場合、一番に考えなければならないのが学費の捻出です。
自己破産をしているので教育ローンは組めませんが、奨学金制度は一定の条件を満たすことで利用出来ます。返済は、子供が進学した後でも可能です。
このように学費を捻出することは可能ですが、奨学金制度を利用すれば、また借金を抱えることになります。
親が自己破産をしまい子供の教育費も払えないというのは、子供がかわいそうです。
自己破産は子供への影響が大変大きいという認識を持つようにしましょう。
家庭を持つ人が自己破産手続きを選んだ時、子供に与えるデメリット
自己破産を選ばなくてはならなくなった理由には、事業の失敗・ギャンブル・投資の失敗等、人によって様々な理由があると思います。
中には急な失業や病気で全く収入がなくなってしまい、自己破産まで追い込まれている方もいるようです。
どのような人が自己破産してしまうのか
自己破産をした人の家族構成を統計的にみると、一番多いのは単身の方で、次に2人家族、3人家族というデータがあります。
家庭を持った状態でも自己破産を選ぶ方はいるようです。
また年齢別で見ると、一番多いのが40代、次に50代、60代、30代と続きます。
このように家族構成・年代からみると、家庭を持っている働き盛りの方が自己破産に陥るケースも多いようです。
年代から考慮すると、子供は成人していないケースも多いのではないでしょうか。
子供がいる家庭はこれからどんどんお金が必要になるのに、自己破産するというのはとても大きな影響が考えられます。
借金がゼロになるという大きいメリットと共に、家族、特に子供へ与えるデメリットも大きい自己破産。債務整理が必要となってしまった時、他に選択肢はないのか、パートナーや子供への具体的な影響、保証人への影響はどういったものがあるのでしょうか。
債務整理の中でも自己破産は最後の選択肢
複数の金融機関から借り入れが増え、返済能力がなくなってしまった場合に行うのが債務整理です。
その中でも、借金が膨大に膨らみ、どうしても返済が出来ない時に最終手段として選ばれるのが自己破産となります。
自己破産を行うことで心機一転新たな人生をスタート出来る反面、家族に与えるダメージは大変大きいものです。
自己破産を選択する前に、他に選択肢がないのか考えてみましょう。
債務整理の方法を簡単に4つご紹介します。
任意整理
借金の貸し手と借り手で交渉し、利息制限法に基づいて借金の減額を行います。
金利の支払いがなくなるため、30~50%程の減額効果が出ます。
裁判所は通さないため、勤め先などには情報がばれません。
個人再生
個人再生とは、簡単にいえば任意整理と自己破産の中間にあたる債務整理方法です。
裁判所を通じて債務を減額してもらう手続きで、原則として借金を5分の1までカットしてもらえます。
減額された債務は3年から5年程かけて返済していきます。
特定調停
裁判所を利用した任意整理のことで、裁判所で調停委員(弁護士資格を持った民間人から2人選ばれる)を間において交渉していきます。
借金は任意整理に近い方法で減額されます。
自己破産
現在保有している財産をすべて手放し、今ある借金をゼロにするという手続きです。
債務がゼロとなるため、人生を新たに再スタートさせることが可能ですが、信用情報機関に事故情報が登録され、7~10年は記載が抹消されないため、新規の借り入れはもちろん、クレジットカードの保有も出来ません。
このように債務整理には、借金の額に応じて整理の仕方がいくつか用意されています。
会社にばれず、財産も処分されない方法もあるのです。
債務整理をどのように行うのかは、家族への影響も含めじっくり判断する必要があります。
とはいえ、どうにもならないような額の場合は自己破産を選ぶほかありません。
自己破産で処分される財産とは
自己破産の手続きを行うと、かなり幅広い財産が処分されることとなります。
しかし、自己破産後の生活もありますので、個人の場合は自由財産と呼ばれる財産は処分されずに済みます。
処分の対象となる財産
- 土地
- 建物
- 高額な預金や株券
- 車
- 保険(学資保険含む) など
処分されない自由財産
- 破産手続開始決定後に取得した財産
- 法律上差し押さえが禁止されている財産(生活必需品等)
- 99万円以下の現金
- 自由財産の拡張がなされた財産
見落としがちな財産「保険」
自己破産をした時に見落としがちな財産が保険です。
保険を解約した時に返ってくるお金を返戻金といいますが、実はこの返戻金が財産としてみなされます。
自己破産を選択した場合は保険を解約し、解約返戻金を差し出す必要があるのです。
また本人でなくても破産管財人が保険を解約して直接回収することもあります。
保険が没収の対象外となる条件として、「解約返戻金見込み額が20万円を下回る」というものがあります。
つまり、もし1つの保険契約しか持たず、解約返戻金が20万円以下の場合は解約せずに済むということです。
しかし、保険の契約を2本持っていて、A保険は9万、B保険は12万といった場合は残念ながら2本とも没収対象となります。
個別で見ると20万円以下ですが、あわせると21万になるためです。
また、学資保険も処分の対象となってしまいます。
お子さんの名義とはいえ保険料を払い続けているのは親ですので、財産の一部として取り扱われるためです。
自己破産した場合は処分して貸付の支出にあてなくてはならないのですが、保険契約と同様に対象となるのは20万円以上の価値があるものに限ります。
もし解約をしても返戻金が20万円に満たない場合は、処分の対象から外れます。
何とか子供のために貯金してきた財産を残したいという場合、処分から逃れられる方法が確実とはいえませんがあるようです。
学資保険の場合、貸付機能を利用して貸し付けを行い、解約返戻金を20万円以下まで持っていくことも可能ではありますが、得た現金の利用方法が裁判所にて認められるような内容でないといけません。
また、「自由財産拡張の申し立て」というものもあります。
これは、破産者の手元に残しておける最低金額の財産を増額しなければならない事情がある場合に限り、裁判所に申し立てを行い、認められれば残せるというものです。
これまでにも、学資保険などの子供のためにかけてきた保険などは認められた事例もあるようですので、弁護士などに相談してみると良いでしょう。