自己破産のデメリット【官報】に名前が掲載される理由&時期

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官報とは何か

構成について

まず、官報についての大まかな解説を行います。
構成は2部に分かれており、以下の順にページが進みます。

  • 広報
  • 広告

広報の部分には、官職の異動情報・特に重要な法改正・閣議決定や政府の収支状況が掲載されています。

しかし近年は新聞で事足りるため、これに目を通す人はほとんどいません。
広告の部分には、法人や会社の広告・政府の一時的な通達・裁判所の公告が記載されます。
自己破産・個人再生の情報が記載されるのは、この「裁判所の公告」の部分です。

自己破産・個人再生についての掲載位置と回数

債務整理の最終手段として自己破産・個人再生を行う人は、毎年10万~11万人にも及びます。

官報は毎日発行されますが、企業・個人を含めて膨大な数にのぼるため、官報の最終部に掲載されます。
裁判所の公告に目を通すのは、新聞記者・金融業を営む企業・各弁護士会に限られ、そういった職種でない個人が目を通す機会はほとんどありません。

通説として「自己破産や個人再生の情報を家族に知られることはほとんどない」といわれているのは、このためです。
次に、自己破産・個人再生において、官報に掲載される回数とタイミングを見てみましょう。

  • 自己破産…破産申立受理・免責(事件終結)の2回、それぞれ決定から2週間後
  • 個人再生…再生手続開始・書面付議決定・返済計画案の認可(事件終結)の3回、それぞれ決定から2週間後

以上のようになります。
まとめると、申立~手続が終了するまで、それぞれ2回~3回は記載されることになります。

官報に掲載される理由とは

「債権者平等の原則」

自己破産・個人再生はともに「法的整理」と呼ばれており、ほかの債務整理方法との決定的な違いが存在します。

特定調停・任意整理は一部の債権者のみとの交渉ですが、法的整理では全ての債権者が事件に加わり、裁判所を通して利益を保全されるという約束事があります。

細かくいえば、債務履行(返済)ができなくなった業者にのみ借金の減額・免除を求めるのは不公平であり、クレジットカード会社・後払い式の交通機関カード会社・果ては友人や親族などの口約束でお金を借りた相手に至るまで、全ての“債権者”に偏りなく返済する義務がある、と裁判所は定義づけているのです。

民法上の大原則である「債権者平等の法則」という考え方に当たります。
手持ちのクレジットカード・ローン返済額を全て裁判所に報告したとしても、後から友人・親族などが「自分もお金を貸した」と言ってきた場合、債務の申告漏れとして指摘されます。

さらに念押しで、「この人は破産または再生手続に入ったので、万が一お金を貸している人が他にいるのであれば、申し出てください」という意味が込められているのが、官報掲載です。

信用情報機関の情報源として

官報の保存期間は、5~10年と定められています。

既に自己破産・個人再生によるデメリットについて情報収集している人ならば、この段階で気づくと思われますが、これは「金融事故情報の保存期間」と一致します。
信用情報機関は、保存されている全ての官報から破産者情報をもとに、常に情報を更新しています。

言い換えれば、閲覧できる全官報から自身の情報が消えた時、ようやく信用情報機関から「破産者」という扱いを受けなくなるということです。
ここからは、官報に記載されることで直接受けるデメリットを考えていきます。

投資・事業におけるデメリット

「信用取引」ができなくなる

クレジットカードを作れなくなる・ローンを組めなくなるというのは有名です。

しかし、制限はこればかりではありません。近年は3,000円から投資できる金融商品の販売が推し進められていますが、あらゆる投資方法のうち「信用取引」と呼ばれるものができなくなります。
銀行などから貸付を受けて、それを元手に投資するという方法です。

代表的なのが企業株の取引(ミニ株と呼ばれるものも含む)で、口座を開設する際に銀行は信用情報機関・官報を確認し、取引を断ります。
そのため、破産後に投資をしたいと考える際は、商品を選ぶ必要があります。信用取引でない代表的な投資方法は、以下のものになります。

  • NISA
  • 仮想通貨取引
  • FX

下2つの取引についてはレバレッジについても無制限ですが、「自己破産・個人再生の手続き終結から7年間は、再度左記の申立を行えない」ことを念頭に置くと、万が一の場合に備えて控えるべきです。

また、証券口座を開設する際も、銀行が官報や個人信用情報を参照した上で、取引の大幅な制限を決めます。

どうしても投資がしたい・心身障害などがあり投資利益で生活がしたいと考えている場合、商品価値が暴落してもマイナスにならないとされている「仮想通貨取引」が妥当です。
2018年から本格的に始動する「つみたてNISA」も、破産者に対する制限がありません。

事業用口座の制限

事業を行うに当たって必須の当座預金口座にも、制限があります。

官報掲載中・信用情報機関登録中は、当座預金最大のメリットである「貸越」が認められません。
従って、口座開設そのものを断られてしまいます。
破産者がどうしても事業運営をしたい場合は、別名義で事業運営をするか、会社役員に就任しないという方法が考えられます。

日常生活におけるデメリット

職業の制限「弁護士にはなれない」

職業上の制限として“士業”の資格停止もあります。

資格の停止期間は、事件開始(申立が受理された時)から事件終結までの間ですが、自己破産・個人再生ともに事件終結まで半年~1年かかることがほとんどです。
資格を活用した業種を生業としている場合、上層部の判断次第で、良くて「別のポストに配属替えをされる」と考えて良いでしょう。

ほとんどの場合は、退職の運びとなります。

弁護士・司法書士・行政書士資格については、もっと厳しい制限があります。
それぞれ仕事をするためには、地方ごとの団体に所属する必要がありますが、これらの団体では官報を詳細に確認しており、掲載期間が終わっても破産者の情報を保存しています。

「破産者が法的業務を行うべきでない」という道義的な理由から、これらの業務に携わることは、半永久的に認められません。
特に弁護士会においては、この倫理観が徹底されています。
これから弁護士を目指そうとする方については、破産が決定した時点で、道を諦めるしかないのが現状です。

士業の資格を活用したい、失職を免れたい場合は、債務整理手段として特定調停・任意整理を選択する必要があります。

ヤミ金業者からのDM

もっとも身近なデメリットは、ヤミ金業者からダイレクトメールが大量に送られてくることでしょう。

彼らもまた官報を参照しており、記載の住所を自分たちの勧誘リストに登録しています。
「官報記載から1ヶ月程度で落ち着いた」という体験談が破産者のブログで散見されますが、実際には、5年以上にわたって途絶えることなく送られてきます。

破産者に対して貸付を行いたい理由としては、前述した「自己破産・個人再生の手続き終結から7年間は、再度左記の申立を行えない」ことにあります。
彼らは、貸倒れとなるリスクがないことをわきまえた上で、横暴な取り立てをしても「警察や法律事務所への相談がはばかられる…」という債務者の心理につけこもうとしています。

悪質なのは、大手銀行・金融機関を装う業者が横行していることでしょう。
高齢の破産者がターゲットになり、被害を受けるケースもあります。

実際に、破産後にヤミ金業者からの借金をして首が回らなくなり、それを苦に自殺をしたという例もあります。
自己破産・申立後の融資勧誘には、十分注意を払ってください。

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